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ショーバン先生メモ乱ダム  ―山口昌伴
by douguology_news
道具学会事務局
〒169-0074
東京都新宿区北新宿1-30-30
TEL・FAX:03-3369-0460
E-mail:info@dougu-tools.com
http://www.dougu-tools.com/

〔個人会員〕
入会金¥6,000
年会費¥12,000
〔学生会員〕
入会金¥3,000
年会費¥6,000

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椀、碗ワンワン物語り
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絶品の水道蛇口

 たとえば風呂場では3帖の脱衣室があって純和風、障子ごしに小庭が見える。壁ぎわは茶室にあるような水屋があって、そこにある水栓が銅製・細身の長頸(くび)、玉ハンドル、これまで目にした水栓ではもっとも雅趣に富んだ絶品である。
絶品の水道蛇口 _b0073160_1629296.jpg

▲一階の大座敷(遠山記念館ブックレットより)

# by douguology_news | 2006-04-08 16:30 | 飛切豪邸遠山家住宅見学

飛切豪邸遠山家住宅見学

飛切豪邸遠山家住宅見学_b0073160_16281139.jpg

▲生家再興を果たした遠山家の主屋、玄関口(遠山記念館ブックレットより)

14:00。午後は見学会。
 川越からほど近い川島町の遠山邸は日興澄券の創立者・遠山元一(1890~1972)が没落した生家を再興し、老母に住まわせた。昭和8年から2年7ヶ月をかけて建築、1968年法人化して、遠山元一が金に糸目とつけずに蒐集した膨大な「お宝」は敷地内に建てられた遠山美術館でテーマ展示が続けられている。
 敷地は建坪で400坪。東棟は生家の再興を目(もく)したものだから豪農風茅葺き民家。中棟は洋室も加えた和洋折衷の、昭和初期東京風豪邸、西棟は老母の安住の家で数寄屋風造り。すべての部分に高い見識をもって創意趣向を凝らしているのでベンキョーになるナル。
 広大な造作の一大集積だから、ショーバン先生は毎回テーマをかかえて見物に通っている。今日は床(ゆか)を見に行くのだ、畳や畳縁(へり)、フローリング、人造石研ぎ出しタイル、などなど。別の日は「あかり」に注目してまわる。座敷の和風シャンデリアから廊下の壁付ランプまで、みなデザインを匠(たく)んだ注文製作ものだから、いちいち面白い。別の日は風呂場まわりと台所。
# by douguology_news | 2006-04-08 16:22 | 飛切豪邸遠山家住宅見学

ドイツのライカとクアラルンプールのタンコロ

AM11:00。
 そんなこんなで今日は「床(ゆか)の住まい術研究会(仮称─ショーバン先生は命名癖があり、勝手にどんどん名付親)」。
 新埜好一さんが「畳の藺草の芯を使う燈明皿や和蝋燭のはなし」(藺草は一名燈芯草)で、燈明の話題は忽然(こつぜん)マレー半島マラッカ海峡に及ぶ。
 クアラルンプール駐在の和田啓志会員は新埜さん主催の道具学会「道具を語る会in SAITAMA」のとある研究会に出席したのが病因で道具学会に入院(入会)した道具病患者(精神棟)。
 和田会員はもともと金属偏愛パラノイア症だったから道具学会入院の素質はあった。金属偏愛症はカメラ写真機の方で、道具偏執狂自慰誌「季刊道具学」12号「みる道具」にLEICA M3型レンジファインダーの溺愛ぶりをみっちり書き込んでいる。
 その和田啓志さんがクアラルンプールに単身赴任。新埜さんが「歩けあるけの道具学」に好都合とクアラルンプールに和田会員を訪ね、日帰りが可能な古い港町マラッカへも「歩き」に行った。そして、マラッカの古道具屋で意想外の道具を発見。
マラッカで発見、日本の燈明「たんころ」
 燈明のうちではもっとも安く、もっとも広く用いられた燈芯を立てやすい燈具、「たんころ」と日本で呼んでいたものとそっくりのがゴロゴロある。それを新埜さん、二束三文(マレーシアだから3ヶ50リンギットか。1RM=約30円)を1ヶ450円の安値で買いこんできた(注:日本の骨董屋では、1ヶ2,000~30,000円もする?)。150年前まではオランダ人が使っていたので、15RM(450円)。マレーシア人が経営するクラフトショップでは、同じデザインの「たんころ」を3RM(90円)で売っていた。
 マラッカといえばフランシスコ・ド・ザビエルさん。イエズス会の宣教師で東方への伝道のためインドを経てマラッカに一時期住んで、日本にやってきて各地を伝道して歩いた。
 この「たんころ」もしやザビエルさんがマラッカから持ってきて(1549年・天文18年に来日)、三百年がかりで日本中に普及を遂げ、大昔から日本にあったような「素(そ)しらぬ顔してる」道具なんではないか。
 日本にはソーユー道具がけっこうある、いや、ありスギなのだ→研究論文受付中。
 さあ!新学説だ、これでこれまでの民具学をこてんぱんに─日本民具学会に道具学会完勝したらザマアミロ─ブログとはいえ汚い言葉はいけません、様(ざま)をご覧くださいまし、も妙─いや、よく思い直してみたらショーバン先生も民具学会の会員だった、学会間セクショナリズムはいけません。ともかく先の実証的研究のため道具学会マラッカ探検を催行するぞ。
# by douguology_news | 2006-04-08 16:18 | ライカとタンコロ

坐る文化研究所へ

9:30。池袋駅に向かう。東武東上線で川越の畳屋さんへ。
 その昔、小江戸と呼ばれた川港、川越市で四代目を継ぐ畳屋さん岡田本店。当主の岡田社長は畳の品質と技術を知り尽くした熟年の働きざかり。
 和の文化は畳の上に花ひらく。お茶やお花にしても和の感性を研ぐには最上等の畳の上でなければと本職の使命を意気軒昂(けんこう)。
 なのだが今どき「よい畳」の「よさ」を判ってくれる人は僅かで、ついつい一人相撲(ずもう)になりがち。
 厚さ25ミリのスタイロフォームに木質繊維ボードの化学タタミ、安物の踏みごたえもなぁんもないパネルの上に坐って芸事じゃ身が入るわけばねえや。以下の悪口雑言(あっこうぞうごん)はショーバン先生の言。
 ボードの上に薄縁(うすべり)かぶせて坐ってるんじゃお菰(こも)さん(今いうホームレスさん ─あ、差別用語だったらごめん。お家(うち)の不自由な人)と同じヤンカァ。お金持ちがそんな安モンに坐って喜んでちゃ、畳がスタル、いい畳が売れるわけが無(ね)ぇ(ショーバン雑言ここまで)。
 岡田当首、畳に精通するこの生業(なりわい)をたいへん誇りに思っているが、売れなくちゃあ宝が持ち腐れる。今どきよりもっと畳に見識を持つ人が減っていたら四代目に後を継げとも言うに言われなくなる。
 そこで良い畳の見識を広める事業を始めた。一階は事務所と工房なので、まずその2階に畳ショールームを開いて全国の藺草表を集めて見較べ、触り較べられるようにして、肌ざわりの実感で選んでもらえるように。
 それから例のコジキボード(文責山口)と、本物の藁床畳を踏みくらべ、坐りくらべてもらう。本物の藁床(わらどこ)畳は高さ60cmに積みあげた藁を踏みつけては縫い踏みつけては縫って(地団駄を踏むとはこの畳床づくりをいう)5cmの厚さに「たたむ」。
 さらに資料を集め、研究会を開くために「坐る文化研究所」をつくろう、と準備をはじめた。これを道具学会が知恵と人材の方面で支援している。
 06年4月現在「坐る文化研究所」開設準備室は道具学会「道具を語る会」を連発してきた新埜好一さんが担当。今日はその第2回研究会。
 その動きとは別にショーバン先生は、WEBマガジンに「世界一周「たたみ」の旅─床(ゆか)の文化誌」を連載している。
 野辺公一さんが主導している「地域マスター工務店・住宅づくりのすみからすみまでマガジン「住宅考房」 ─住宅道具考」。いわば「床の文化」の見なおしが、今年は同時多発しているのである。
 考えて見れば、世界人類はたいてい床の上で暮らしている(ベッドも床(ゆか)であり床(とこ)である)。床は人類の発明、伝承してきた重要文化財であり、世界遺産─いや、今も使っているんだから遺産はおかしい、世界財産だ。
# by douguology_news | 2006-04-08 16:03 | 坐る文化研究所へ

わん、椀、碗ワンワン物語り

 東京新聞のトピックスで髑髏盃をガバラわんと呼称が判ったのは有難かったが、記事に「ガバラ碗」とあったのを「引用」だからとそのまま碗と書き写したが、気になってイカン。道具学の根幹は言語学にあり。道具学は国語学だ、とまで言っているショーバン先生としては一言断りを入れないわけにはいかない。
 漢字には、その物がどんな材料でデキテルカも付記してある。
 わんは土器なら土偏に宛のわん、石材や石ものといわれる磁器なら石偏の碗、木地デキなら椀、金属製なら金偏に宛である。
 家事評論家の元祖・清少納言もあの列挙手法で「あてなるもの(高貴な、上品なもの)を挙げる中で「削り氷(ひ)に甘葛(あまづら)入りて、あたらしき"かなまり"(金偏に宛)に入れたる」と書き分けている。
 さて材料が髑髏のバヤイはドーすべえか、というのがここでのモンダイである。頭の骨だから頭の豆偏を採るなら豆宛でいいのだがどうしてもエンドウマメと思われてしまう。骨偏に旁(つくり)の宛を付けて造字するしかなかろう。
# by douguology_news | 2006-04-07 19:59 | 椀、碗ワンワン物語り