ショーバン先生メモ乱ダム  ―山口昌伴
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カテゴリ:玉手箱とパンドラの箱( 1 )

玉手箱とパンドラの箱

 『Better Strage』誌が送られてきた。日本ファイリング(株)の季刊広報誌。
 日本ファイリングは図書館の書庫や物流倉庫のラックシステムなど、大量多種のモノを仕舞ったりとり出したりする収納什器を製造している大道具メーカーである。
 ショーバン先生は表紙(表1)と裏表紙(表4)で連載を続けている。
 [仕舞う]収納の道具文化誌─道具学会理事・山口昌伴。
 ショーバン先生のおお真面目に取り組んでいる学術エッセイである。
 今回(2006.No1号)第15回は「錠前と封緘」(じょうまえとふうかん)。
 表紙(写真1)は奈良市の春日大社宝蔵の閂錠に組紐の封緘を結んだもの。本来は封緘だけで充分の「あけてはいけない」掟の力を発揮できたのだが、時代が降るとその威力を理解できない輩(やから)が気楽に紐を解く怖れが出てきたので一応閂錠を付け足したのである。
 宝蔵でも正倉院の方は白紙を折った封緘で結ってあり、勅封だからそれだけで済ませている(筈である)。
 この、論旨にぴったりの撮影対象を見つけ出したミュー編集事務所の力量にショーバン先生は感動し、感銘している。じつはショーバン先生は正倉院の勅封に相当する写真を撮ってほしい、と要求しただけ。それでここまで肉迫してくれたのはミュー編集事務所の森田一(はじめ)さん。
 『Better Strage』誌本文のアトラクション頁では森田さんが全国の蔵をめぐりあるいて「蔵に見てきた」なる取材記事を本号で138回目。138の仕舞う文化を見てきた人。是非道具学会に入会して、道具蔵ガイドとして活躍して、収納と取り出しの道具論、研究会のヌシになってほしいと入会をすすめている。
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▲春日大社宝蔵。もとは封緘だけでOKだったのに閂錠をつけ足している。
 これもじつは日本ではシンボルでしかない(『Better Strage』誌表より)

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▲櫃(チェスト)の錠前で17世紀イタリア製

イタリア製の複雑な機械(からくり)の精巧な錠前はショーバン先生蔵書から出したもの。その蔵書とは道具学会・季刊道具学論集(ヨコ組)9号のフランス探検報告で山口が大々的に引用したトゥルネルさんの鉄器博物館に並ぶ全コレクションを収録したドーバープレスの図録集である。
 第15回学術エッセイの主旨。あけたらパッと白煙、の浦島太郎の玉手箱は組紐で結んだだけ。パンドラの箱には錠前がついていて、パンドラはその鍵(キー)を握っていた。
 封緘は、解いたり引き千切ったりすれば難なくあく。だが封緘が結んであれば無断で解いてはいけない約束だった。掟なり戒律なりがソフトな錠鍵としての規制力となっていたのであった。
 錠鍵は、いわば番人、見張り人の器械化である。西欧文明のハード依存の物質を端的に証しているのが、十字軍の騎士たちが留守中の妻の貞操を守らせるのに、鉄製の枠をはめて鍵を掛けた、貞操帯である、と文を結んでいる。
 連載の次回は箱階段─何が入っていたか、から日本人の収納整理力欠落という性格を暴露し、台所を箪笥化したシステムキッチン願望の正体を射抜いてみせようと腕をこまねいている。
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by douguology_news | 2006-04-10 16:46 | 玉手箱とパンドラの箱